福岡高等裁判所宮崎支部 昭和29年(う)558号 判決
原判決に挙示した証拠によると被告人は予て川越喜平に対し憤懣の情を抱いていたもので原判示の日時、場所において原判示の言動にいでたものであることが看取される。しかして右証拠によると川越喜平は食堂を営む者であつて午後四時三〇分より同六時三〇分頃迄の間は食堂、飲食店等においては比較的顧客の出入の多いことは経験則上明らかであるところかような場所、時刻において大声叱呼し又は怒号喧噪することによりその平静を破り顧客の来集に悪影響を及ぼすが如き行為は刑法第二三四条に所謂威力を用いて人の業務を妨害したものというを得べく当時顧客が現に来集していたか否かは同罪の成否に消長を来さないものと解するを相当とする。従つて原審が被告人の所為を目して威力業務妨害罪を以つて臨んだことは正当であつて原判決には所論の点につき事実の誤認はなく、論旨は理由がない。
(裁判長判事 甲斐寿雄 判事 二見虎雄 判事 長友文士)